「2025年度公募助成(活動及び研究)」審査総評
「2025年度公募助成(活動及び研究)」の審査結果について
公益財団法人JR西日本あんしん社会財団
事業審査評価委員会 委員長 白取 健治
「2025年度公募助成(活動及び研究)」に多数の応募をいただき、深くお礼申し上げます。
応募いただいたどの案件も、「安全で安心できる社会」に対する強い思いが伝わってくるものであり、事業審査評価委員会委員一同、一つひとつの申請書を丁寧に拝見させていただき、慎重に議論を重ねながら審査をさせていただきました。
今回、助成対象となった団体や研究者の方々だけでなく、応募いただいた皆様が真摯な取り組みを継続的に行っていくことが、「安全で安心できる社会」の実現につながる道になると、我々は信じています。
1 応募状況
「2025年度公募助成(活動及び研究)」では、募集テーマを「事故、災害、不測の事態に対する備え、その後の心のケアや身体的ケア、並びに事故、災害等の風化防止に関する活動や研究」として募集いたしました。
今年度は「活動助成(特別枠)」も設定し、甚大な被害をもたらした「令和6年能登半島地震」被災地における被災者支援活動につき、石川県、新潟県、富山県、福井県に活動拠点を置く団体も対象として募集いたしました。
今回の募集にあたり、「活動助成(特別枠)」も含めて対象となる府県にある社会福祉協議会や市役所、ボランティア情報センター、大学等への訪問やチラシ郵送等による本助成の告知活動を積極的に行い、各所でチラシ等の掲出や配布、ホームページ等への情報掲出に積極的にご協力をいただきました。
その結果、応募件数は合計116件(前年93件)となりました。
このうち今年度新たに設定した「活動助成(特別枠)」の応募数17件を差し引いてもなお、対前年で増加となりました。
2 審査プロセス
審査は、これまでと同様、理事長から諮問を受け、まず事業審査評価委員会を開催し、審査基準や具体的な審査方法等を確認したうえで進めました。
7名の委員全員が全案件の申請書を確認し、1次審査と2次審査において全案件につき、各委員で評価を行いました。その後、最終審議の場としてあらためて事業審査評価委員会を開催し、各委員が2次審査の評価を持ち寄り、集中的な討議の末、採択案を決定するとともに、その結果を理事会に答申しました。
審査にあたっては、応募資格を満たしているかの確認はもちろんのこと、募集要項に記載した当財団による本助成の趣旨に合致することを最も基本的かつ重要な判断基準とし、特定分野に偏らないよう活動や研究の分野別バランス等も十分踏まえつつ、「社会的な必要性」、「独創・先駆性」、「計画性」、「経費の合理性」の視点を意識し、厳正な審査により採択案を決定しました。さらに、研究助成については、当該研究の直接のアウトプットが何であり、それが社会に対しどういうアウトカムをもたらすのかが明確に描けているかどうかについても重視しました。
なお、これまで当財団から助成を受け、今回も申請があった活動に対する継続助成の審査にあたっては、新規案件と同様の視点で審査を行うのみならず、当財団が継続して助成を行う必要性やニーズ、今後の発展性、社会に対する影響力のほか、申請時点での具体的な活動成果等を総合的に吟味したうえで、採択案を決定しました。
3 審査結果
活動助成35件、1,645万円(特別枠含む)(前年33件、1,565万円)、研究助成9件、1,185万円(前年8件、1,093万円)、加えて研究助成2年目に対する5件、697万円(前年4件、487万円)の助成を含め、合計49件、3,527万円(前年45件、3,145万円)を採択案件として理事会へ答申いたしました。
採択率は、活動助成が55%(特別枠含む)(前年67%)、研究助成が18%(前年18%)となり、全体では38%(前年44%)となりました。
- (1)活動助成
自然災害の備えとして防災・減災に関する応募が多くありました。次いで心のケア、身体のケア、救命、安全等に関する取り組みの応募が続くこととなりました。 採択件数においても、概ねそれらを反映した結果となりました。 - (2)活動助成(特別枠)
令和6年能登半島地震による被災地域や同地震により被災された方々に対する支援活動へ助成する「特別枠」を新たに設けて募集した結果、被災者の心のケアに関する応募が多く、次いで復興に関する取り組みの応募が続き、それらを中心に採択しました。なお、近畿2府4県以外に拠点がある団体として石川県から2団体、富山県から1団体を採択しました。 - (3)研究助成
防災・減災に関する応募が最も多く、次いで安全、交通、救命、身体のケア等バランスよく応募が寄せられました。採択に当たっては本公募助成の趣旨及び社会的必要性等の審査基準に照らし、審査を行いました。加えて、それぞれ助成期間(1年/2年)に対し、テーマ及び計画が相応しいかの観点も重視しました。
4 総評
今回も熱意溢れる多くの応募をいただき「安全で安心できる社会」の実現に向けた素晴らしい活動や研究に対して助成できることを大変光栄に思います。
全体を通じ、申請上の記載不備等により不採択となる件数が、依然として一定数ありました。今回は特に収支計画欄の内訳・算出根拠が不十分なケースが散見されました。助成金を支出させていただくにあたり、収支計画の内訳・算出根拠は、審査の重要な要素となりますので、提出時のチェックリストの活用とともに、特に再チャレンジされる皆さまには不採択事由を示した通知書等の確認を是非お願いしたいと思います。
活動助成については、応募された多くの方が地域等の安心・安全を高めたいとの想いでボランティアで取り組まれている方であり、日々の活動並びに今回ご応募いただきましたことに敬意を表します。今回新たに募集いたしました活動助成(特別枠)については、次年度もその設定を予定しております。これまでの実績から、特別枠の設定2年目以降に応募が増加する傾向がございます。応募いただく際には、計画される活動が、被災地・被災者の方にとって必要性や優先度の高いものであることを積極的にアピールしていただければと思います。
研究助成については、萌芽的研究、応用的研究のいずれであっても、安全・安心に関し、社会実装への期待や他の研究者に参考となるような成果などを申請書から感じられるかという観点を大事にしながら審査いたしました。
当研究助成が一つのテーマに対し、助成期間にかかわらず採択回数の制限を特に設けていないのは、そうした成果への到達を願うからに他なりません。今回惜しくも採択には至らず、再チャレンジをお考えの研究者の方には、所期の目的・成果実現に向け、必要な助成期間を選択いただくとともに、研究テーマの最終的なゴールイメージを申請書の目的欄に、今回の助成期間における到達点を申請書の成果欄にそれぞれ記載いただき、研究成果に至るまでのロードマップとしてお示しいただきたいという点にご留意いただき、次の機会にぜひご応募いただきたいと考えております。
「安全で安心できる社会」の実現は、一朝一夕で達成できるものではありません。その実現に向けて真摯で地道な取り組みをされている皆様、新たに取り組みを開始される皆様に敬意を表すとともに、今後の益々のご活躍を心よりお祈りしております。