2010年度 公募助成審査総評

公募助成(2010年度募集)の審査結果について

公益財団法人JR西日本あんしん社会財団
事業審査評価委員会 委員長  白取 健治

今年度も多数の応募をいただき、深くお礼申し上げます。
本公募助成は、昨年度に引き続き、大規模な事故、災害が起こった際の備えやその後のケア、及び公共交通機関における事故の防止といった観点から、「安全で安心できる社会」の実現に寄与しうる活動や研究をテーマに募集を行いました。委員一同、応募いただいた活動内容や研究内容に真剣に向き合い、白熱した議論を重ね、厳格に審査させていただきました。
助成対象となった団体や研究者の方々のみならず、今回選ばれなかった団体や研究者の方々にも、継続的に「安全で安心できる社会」の実現に向けた素晴らしい活動や研究に取り組んでいただきますよう、心から願っております。

1 応募状況

今年度は、昨年度の募集テーマを踏襲しつつ、本公募助成の趣旨を明確化するためより分かりやすい表記に改めるとともに、募集期間を延長しました。また、活動助成においては、昨年度当財団から助成を受けた活動について、引き続き助成を行う必要性が高い場合には継続助成を行うこととしたうえで募集を行いました。
結果として、活動助成への応募が67件(うち、継続申請10件)、研究助成への応募が39件、計106件の応募がありました。大変質の高い、熱意あふれる応募が多数寄せられたことに感謝申し上げます。
活動助成については10件の活動が継続申請されました。当財団の助成活動が今後も継続し、発展的に実施されていくことを喜ばしく感じるとともに、ご応募をいただきましたことに改めて感謝いたします。
応募総数は、昨年度と比較し、若干減少したものの、ほぼ昨年並みとなりました。
応募者等を見ると、NPO法人をはじめ、自治会などの任意団体、財団・社団法人、医療機関、大学所属の研究者など多岐にわたり、助成金申請額も、活動助成で10万円から100万円、研究助成で20万円から200万円までと幅広いものでありました。これは、本公募助成が多種多様な方々の目に留まった結果だと思われます。

2 審査プロセス

審査は、昨年度同様、まず事業審査評価委員会を開催し、委員全員で審査基準や具体的な審査方法等を確認したうえで進めました。
6名の事業審査評価委員全員が全案件の申請書をじっくりと読み込み、1次審査と2次審査において全案件について各自で評価を行いました。その後、全委員出席のもと、最終審議の場として改めて事業審査評価委員会を開催し、各委員が2次審査の評価を持ち寄り、集中的な討議の末、助成対象を決定するとともに、その結果を理事会に答申しました。
審査にあたっては、本公募助成の趣旨に合致することを最も基本的かつ重要な判断基準とし、社会的要請の高さ、計画性、経費の合理性のほか、特定分野に偏らないよう活動や研究の分野別バランス等を総合的に勘案し、助成対象を決定しました。
なお、昨年度当財団から助成を受け、今年度も申請があった活動に対する継続助成の審査にあたっては、新規案件と同様の視点で審査を行うのみならず、決して継続助成に偏ることがないよう、当財団が継続して助成を行う意義や必要性を十分に吟味したうえで、助成対象を決定しました。

3 審査結果

今年度は、活動助成では20件(昨年度17件)、研究助成では10件(昨年度8件)、合計30件を助成対象として採択しました。採択率は、活動助成で30%(昨年度27%)、研究助成で26%(昨年度16%)となり、昨年度から助成件数、採択率とも上がり、結果としてより多くの活動や研究に対して助成を行うことができました。
一方、審査の過程においては、専ら「子どもの福祉・青少年の育成」「高齢者福祉」「防犯」「まちおこし」に関わる内容のみを目的とした応募など、本公募助成の趣旨との関連性が薄い応募が今年度も見受けられました。これは、大規模な事故、災害による心身のケアや地域社会の安全構築といった視点から助成対象テーマを設定している本公募助成の趣旨が、未だ十分に伝わっていないためと思われます。

  • (1) 活動助成
    今年度の採択案件では、防災に関する活動の応募が多かった点が特徴的でした。これは、地域における防災意識の高まりを反映し、自治会などの民間団体が主体となった「自助」「共助」的な取り組みが非常に活発に行われていることの表れだと考えられます。また、公共交通機関の事故防止やその後のケアといった観点を重視し、JR福知山線列車事故の経験を通して命の尊さを語り伝える活動、大規模事故の被害者に対するサポートのあり方や事故の風化防止を考え、訴える活動等を今年度も採択しました。また、昨年度の総評で応募を期待しておりました精神的、身体的ケアをはじめとする様々なケアといった視点での活動も昨年度以上の件数を採択する結果となりました。
    なお、昨年度当財団から助成を受け今年度も申請をいただいた活動については、改善を図ることでより有意義な活動を実施しようとしているものや継続的に取り組んでいくことで大きな成果が生まれるものなど、当財団が継続して助成を行うことの意義や必要性が感じられる活動に対し、継続助成として6件採択しました。
  • (2) 研究助成
    心身のケアや地域社会における安全構築といったテーマの中で、幅広い分野の研究が採択されましたが、活動助成同様、特に防災に関する研究と公共交通機関における事故の防止や被害軽減などに関する研究が多く採択されたことが特徴的でした。これらの研究は、重点対象とした「公共交通機関における事故又は自然災害」に関わりが深いものであり、研究対象や目的、内容が明確で、社会的必要性が高く、社会への還元が期待できる内容となっている点を高く評価し、採択しました。

4 総評

100件を超える質の高い、熱意あふれる応募をいただき、本当にありがとうございました。今年度も「安全で安心できる社会」の実現に向けた素晴らしい活動や研究に対し助成できることを大変うれしく思います。
一方で、応募件数が昨年度に比べ若干減少したうえに、本公募助成の趣旨との関連性が薄い応募が少なからず見受けられました。今年度は募集要項の記載等の改善を行ったうえで募集しましたが、今一度、本公募助成の趣旨を分かりやすく伝える方策を検討し、さらなる改善を行う必要があると強く感じました。
また、惜しくも選考から漏れた活動や研究の中には、非常に熱意があり可能性を感じる部分はあるものの、今一つ計画性、具体性に欠けるものが多く見受けられました。
選考においては、助成対象となる活動や研究の内容、目的が明快で、それらが当財団としての助成の趣旨にどれだけ適合しているか、そして「安全で安心できる社会」の実現に向け、地域社会にどれだけのインパクトを与えうる活動であるか、また研究成果が社会にどれだけ還元できる研究であるかが最大のポイントとなります。
次年度においては、「地域との連携やつながり」といった観点を重視した活動や研究成果の社会への還元といった観点を重視した研究の応募を、心から期待しています。

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「安全で安心できる社会づくり」の一端を担いたいとの思いから、事故や災害に遭われた方々などへの心身のケアに関わる活動や、
地域社会における安全構築に関わる活動に対する支援及び安全に関する啓発活動等を行っています。

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