「平成25年度 公募助成(活動・研究)」審査総評

平成25年度公募助成の審査結果について

公益財団法人JR西日本あんしん社会財団
事業審査評価委員会 委員長 白取 健治

平成25年度公募助成に多数の応募をいただき、深くお礼申し上げます。
応募いただいたどの案件も、「安全で安心できる社会」に対する強い思いが伝わってくるものであり、事業審査評価委員会委員一同、一つひとつの申請書を丁寧に拝見させていただき、慎重に議論を重ねながら審査をさせていただきました。
今回、助成対象となった団体や研究者の方々だけでなく、応募いただいた皆様が真摯な取り組みを継続的に行っていくことが、「安全で安心できる社会」の実現につながる道になると、我々は信じています。

1 応募状況

今年度の公募助成では、募集テーマを「事故、災害が起こった際の備えやその後のケアに関する活動や研究」とし、昨年度までの募集内容に加え、これまで3回にわたって別に実施してまいりました「東日本大震災に関する活動助成」に平成23年台風12号の被災地・被災者支援に関する活動を「活動助成(特別枠)」として盛り込んで募集いたしました。
活動助成及び「活動助成(特別枠)」においては、東日本大震災や台風12号災害を受け、事故・災害時における地域の人々の拠り所としての地域コミュニティの重要性が再認識されていることに注目し、近畿2府4県における地域での新たな仕組みづくりやネットワーク構築など『地域との連携やつながり』を重視する活動を昨年度に引き続き重点対象としました。
また、募集開始前から、近畿2府4県の社会福祉協議会やボランティア情報センター、NPO支援機関や大学等を対象にした事前の広報活動を行うほか、昨年度に引き続き、募集期間中に助成に関する個別相談会を開催するなど、この公募助成制度をより多くの方々に知っていただくとともに、募集テーマの浸透に向けて積極的な広報活動を展開しました。
その結果、応募総数は活動助成への応募が80件、新設した活動助成(特別枠)への応募が57件、研究助成への応募が27件、計164件となり、広く近畿2府4県から昨年度を大きく上回る応募をいただきました。

2 審査プロセス

審査は、これまでと同様、まず事業審査評価委員会を開催し、委員全員で審査基準や具体的な審査方法等を確認したうえで進めました。
7名の委員全員が全案件の申請書をじっくりと読み込み、1次審査と2次審査において全案件について各自で評価を行いました。その後、全委員出席のもと、最終審議の場として改めて事業審査評価委員会を開催し、各委員が2次審査の評価を持ち寄り、集中的な討議の末、助成対象を決定するとともに、その結果を理事会に答申しました。
審査にあたっては、本公募助成の趣旨に合致することを最も基本的かつ重要な判断基準としながら、「社会的な必要性」、「独創性」、「計画性」、「経費の合理性」、「地域の連携やつながり」に加えて、特定分野に偏らないよう活動や研究の分野別バランス等を総合的に勘案し、助成対象を決定しました。
なお、これまで当財団から助成を受け、今回も申請があった活動に対する継続助成の審査にあたっては、新規案件と同様の視点で審査を行うのみならず、新規案件とのバランスを考慮しながら、当財団が継続して助成を行う必要性や、今後の発展性、社会に対する影響力を十分に吟味したうえで、助成対象を決定しました。

3 審査結果

今回の募集では、質の高い応募が多数寄せられました。これは、本公募助成が回を重ねながら、個別の相談会の開催や社会福祉協議会、ボランティア情報センター等を通じた広報活動が実を結んだことに加え、これまで3回行った助成活動の活動報告会等を通じて募集テーマが浸透したものと考えています。さらには、今回新たに活動助成(特別枠)として東日本大震災や平成23年台風12号災害に関係する活動を募集したところ、単なる災害復旧にとどまらず、発災からの時間の経過に応じた様々な支援活動に関する応募をいただきました。
最終的には、当初予定していた助成総額を超えても支出可能な範囲内でできうる限りの助成を行うこととし、活動助成では23件、1,798万円(昨年度19件、1,581万円)、今回新設した活動助成(特別枠)では12件、881万円、研究助成では7件、1,375万円(昨年度7件、1,298万円)、合計42件、4,054万円を助成対象案件として採択しました。結果、採択率は、活動助成で29%(昨年度48%)、活動助成(特別枠)で21%、研究助成で26%(昨年度19%)となりました。

  • (1) 活動助成
    全体的には、東日本大震災や平成23年台風12号災害に加え南海トラフ地震に関する報道を契機とした防災・減災意識の高まりを受け、防災・減災に関する応募が多く、採択案件も多数にのぼりました。この他、救急救命に関する案件にも多くの応募をいただき、防災・減災関連に次ぐ採択となりました。
    また、JR福知山線列車事故の経験を通して命の尊さや人と人とのつながりの大切さを語り伝える活動、大規模事故の被害者に対するサポートのあり方や事故の風化防止を考え、訴える活動等の応募もあり、財団の設立趣旨に合致する活動として今年も採択いたしました。
  • (2) 活動助成(特別枠)
    東日本大震災や台風12号災害への被災者・被災地支援に関する活動ですが、発災からの時間の経過に応じ、今の段階で被災者が求める活動として、心のケアや復興に関する案件を採択いたしました。
  • (3) 研究助成
    活動助成と同様に、防災・減災に関する応募が多数寄せられました。限られた助成金の中で研究分野のバランス等も重視し、心のケアや防災・減災、復興、救急救命など幅広い分野から本公募助成の趣旨に合致し、社会的必要性が高く独創的、先駆的な案件を採択しましたが、一方で、グリーフケア、スピリチュアルケア等の心のケアに関する研究やリハビリテーション等の身体的な機能回復に関する研究が、応募、採択ともに少なかったことが残念でありました。

4 総評

今回も質の高い、熱意あふれる応募を多数いただき「安全で安心できる社会」の実現に向けた素晴らしい活動や研究に対して助成できることを大変光栄に思います。
今回の募集では、助成総額を可能なかぎり拡大し、多くの質の高い案件を採択しました。一方で、事故、災害が起こった際の備えやその後のケアにおいて重要な役割を果たす、心のケアや身体の機能回復に関する案件が応募、採択ともに少なかったこと、また、積極的な広報により応募の裾野が広がったものの助成総額に限りがあり、質の高い多くの案件を不採択とせざるを得なかったことなどの課題が残されています。
来年度以降は募集要項や申請書の見直しなど、より一層申請者が応募しやすい環境を整え、心のケアや身体の機能回復に取り組む活動や研究といった案件の応募が多く寄せられるような工夫を行うとともに、本助成の制度内容についての改めての検討も必要であると考えています。
「安全で安心できる社会」の実現は、一朝一夕で達成できるものではありません。「安全で安心できる社会」の実現に向けて真摯で地道な取り組みをされている皆様、そして新しく取り組みを開始される皆様のご活躍をお祈りしております。

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「安全で安心できる社会づくり」の一端を担いたいとの思いから、事故や災害に遭われた方々などへの心身のケアに関わる活動や、
地域社会における安全構築に関わる活動に対する支援及び安全に関する啓発活動等を行っています。

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