2009年度 公募助成審査総評

公募助成(2009年度募集)の審査結果について

公益財団法人JR西日本あんしん社会財団
事業審査評価委員会 委員長  白取 健治

本公募助成は、2009年4月1日に設立された当財団にとって初めての募集となりました。
設立初年度でもあり、十分な周知ができず、正直申し上げて応募していただけるのか不安がありましたが、結果として予想を超える多数の応募をいただき、本当にありがとうございました。また、活動内容や研究内容が記載された申請書を拝見させていただき、「安全で安心できる社会」の実現に向けて、様々な取り組みや研究が行われていることをあらためて実感するとともに、その熱意に頭が下がる思いでありました。
このように多数の応募をいただいた中で、我々委員一同申請書の内容をよく吟味し、十分な議論を重ね、記念すべき第1回目の助成先の審査を行いました。
以下にその審査結果と所見を述べさせていただきます。

1 応募状況

当財団が2005年4月25日の福知山線列車事故を契機に設立されたという経緯をふまえて、大規模な事故、災害が起こった際の備えやその後のケア及び公共交通機関における事故の防止といった視点から助成対象テーマを設定したところ、「心身のケア」「地域社会における安全構築」「その他、命の大切さを啓発する活動」といった各助成対象テーマで満遍なく、質の高い活動、研究の応募をいただき、活動助成は64件、研究助成は49件、総件数113件となりました。
活動助成については、近畿2府4県に拠点がある団体を対象としている中で、今年度は特に兵庫県、大阪府で活動を行う団体を重点対象としましたが、重点対象以外の地域からの応募も10件(16%)あり、全体としては多数の応募をいただき、ありがたく受け止めております。2010年度募集の対象地域はあらためて検討しますが、重点対象地域を設定する場合でも、専らその地域のみを助成地域とするわけではありませんので、多くの応募をいただければと思います。

2 審査プロセス

まず事業審査評価委員会を開催し、審査基準や具体的な審査方法等を確認したうえで、審査を行ってまいりました。5名の事業審査評価委員それぞれが全案件の申請書をじっくりと読み込み、1次審査及び2次審査において案件毎に各自で評価を行いました。その後、全委員出席のもと、最終審議の場として事業審査評価委員会を開催し、各委員が2次審査の評価を持ち寄り、集中的に討議を行い、助成対象を決定するとともに理事会に答申しました。
審査の視点としては、まずは本公募助成の趣旨に合致することを最も基本的かつ重要な判断基準としましたが、重点対象とした「公共交通機関における事故又は自然災害」との関連性や社会的要請、計画性、経費の合理性のほか、特定の助成対象分野に偏らないよう分野別のバランス等々を勘案し、決定しました。

3 審査結果

最終的には、活動助成17件1,343万円、研究助成8件1,412万円が採択されました。今年度は想定より応募が多数あったことを踏まえ、当初予定していた助成金総額1,600万円を大幅に超え、経費縮減等により支出可能な限りの助成金の範囲内で採択しましたが、それでも採択率は、活動助成で27%、研究助成で16%にとどまりました。

  • (1) 活動助成
    分野別の募集は行っていませんが、応募64件のうち「心身のケア」と「その他、命の大切さを啓発する活動」の分野がそれぞれ概ね3割、「地域社会における安全構築」の分野が概ね4割を占めました。
    このうち、民間団体が地域の安全の重要な担い手となっている現状を反映し、事故・災害時に必須となる救急救命に関わる対応、知識の普及啓発活動の応募が多く、採択案件も多数に上りました。また、公共交通機関の事故防止やその後のケアといった観点を重視し、JR福知山線列車事故の経験を通して命の尊さを語り伝える活動、大規模事故の被害者に対するサポートのあり方や事故の風化防止を考え、訴える活動を採択しました。その他にも、重点対象とした「公共交通機関における事故又は自然災害」に関わりのある心のケア活動などが採択されました。
    一方で、「安全で安心できる社会」の実現を目指す活動ではありますが、専ら「子どもの福祉・青少年育成」「高齢者福祉」「防犯」「まちおこし」を目的とした活動は、大規模な事故、災害による心身のケアや地域社会の安全構築といった視点から助成対象テーマを設定した今回の公募助成においては、趣旨との関連性が薄いことから、採択は見送りました。
  • (2) 研究助成
    応募49件のうち「心身のケア」分野が概ね3割で、残りの概ね7割が「地域社会における安全構築」分野となりました。
    助成の趣旨に沿った社会的必要性が高く実用的な研究内容の応募が多く見られました。選考においては、採択数が限られている中で、助成の趣旨に合致するものの中から、研究分野のバランス等も重視して絞り込みを行った結果、精神的ケアや防災、救急救命に関わる案件が複数採択されましたが、リハビリを含む身体的ケアや公共交通機関における事故防止、被害軽減に関連する案件が応募、採択ともに少なかったのは残念でありました。

4 総評

今回の選考では、申請者のこれまでの活動や研究の実績、申請書の記載の巧拙といった点よりも、助成対象となる活動や研究の内容、目的が明快で、それらが当財団としての助成の趣旨にどれだけ適合しているか否かが最も大きな選考のポイントとなりました。2010年度も基本的には同様の視点で選考を行うことになると思われますが、当財団としても、助成の趣旨に適合した、より質の高い案件が数多く寄せられるよう、できるだけ助成の趣旨等を分かりやすく伝える方策を検討・実施してまいりますので、改めて多数の応募をいただければと思います。
特に、今後ますます高まると考えられる安全ニーズに応えていくため、公共交通機関における事故の防止や被害軽減、事故や災害が起こった際の備えといった観点から、先駆的、独創的な活動や研究の応募が増えること、そして、今回の募集では比較的応募、採択が少なかった事故、災害後の精神的、身体的ケアをはじめとする様々なケアといった視点での活動、研究についても、より多くの応募をいただけることを期待しています。

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「安全で安心できる社会づくり」の一端を担いたいとの思いから、事故や災害に遭われた方々などへの心身のケアに関わる活動や、
地域社会における安全構築に関わる活動に対する支援及び安全に関する啓発活動等を行っています。

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